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小さな母のリポートーー学校とくんれんの生活ーー
私は本当は名前があるのですが、「『小さな母』」ということになっておりますので、ここでそのつもりで書かせていただきます。
ワコの日常を少し取材してみました。
ワコの小学校のクラスメイトは六人だけです。
クラス自体は四クラスありました。
廊下に出ると、上級生のクラスでやっている暗算の読み上げが聞こえてきました。
クラスは、低学年、中学年、高学年とわかれていました。ワコは一年生だったので二年生の人と一緒のクラスになったようでした。
算数も理科もおもしろかったみたいです。国語も、ワコは少し字が書けたので、すいすい読めて楽しかったらしいです。
担任のふるや先生は、少し目尻にしわのある女の先生です。
ワコにとっては、両親より年上なので、なんとなく祖母を思い出すような人だったといっていました(似ていないと思いますが……)。
入学式が終わって数日たつと、クラス全員はふるや先生からノートを三冊渡されました。
一冊目は、日記。これは毎日書いて先生に見せます。
二冊目は言葉集めノート。「あ」から順番に「雨」「アサガオ」「あり」というように、その文字から五十音順に、同じ字から始まる言葉を書いていきます。
いっぱい思い浮かべば何ページも書いていいし、思い浮かなければ2ページほどで次の文字に移ってもいいんです。
このノートは数ページたまったら先生に見せます。
3冊目は、親切ノート。
友だちに優しくできたり、思いやれた行動をしたときに書きます。このノートは、書いたときに必ず先生に見てもらうノートです。
ワコも他のクラスメートも、整った字など書けませんでした。手にマヒが強く残っている子が多かったのです。
ふるや先生は、不思議なことに、どの子の文字も確実に読んでくださいました。字の上手下手はなにも言われることはありませんでした。書き方のまちがった文字は正され、必ず赤いサインペンで感想や意見やほめる言葉が書かれていました。
みんな夢中で、3冊のノートを書きました。
教室では、ジュウシマツを飼っていました。
「水道のお水は、カルキ臭いから、こうしてくんで半日おいておくんだよ。半日おくとカルキが抜けて、ジュウシマツにもいい飲み水になるんだよ」
ふるや先生が、最初に教えて下さいました。
ジュウシマツの観察日記は、もちろんワコたちの役目でした。
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