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すぅと涼しい風が顔に当たり、思わず瞼を閉じた。
じっとりと汗を掻くような陽気なのに、どこから風が?
カン カン カン
向かいのホームに下り電車来るらしい。
踏切の音が聞こえる。
カン カン カン・・・
うるさい位に頭の中に響く音と、顔に吹き付ける心地いい風。
もしかして、グラスの中から吹いているのか?
そう思った瞬間____鳴り響いていた踏切の音が頭の中からふっと消えていた。
青臭い、けれど強い芳香が鼻腔に広がった。
それに混じる大地の香り。
知っている匂い、懐かしい匂いだ。
瞼をゆっくりと開くと、僕は一面のコスモス畑の中に佇んでいた。
手にしていたグラスはいつの間にか消えていて、辺りを見回しても破片すら見つからなかった。
ここはどこだ?
![image=484359974.jpg](https://img.estar.jp/public/user_upload/484359974.jpg?width=800&format=jpg)
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