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豆柴のような胡桃色の、元気な子犬を連れた彼女。
コスモス畑を吹き抜ける風になびく、長い黒髪を華奢な指でそっと抑える。
黒目がちな大きな瞳に、はにかんだような笑顔。
僕は彼女を知っている。
名前を呼べば笑顔で振り向く。
子供の頃から楽しい時も悲しい時も、たくさんの時間を共有してきた幼馴染みの女の子。
_____僕がずっと見てきた女の子だ。
この場所も、今ここに見えている景色も、僕の大切な彼女との想い出だったはずなのに、何で忘れてしまっていたんだろう?
あなたの想い出に辿り着く・・・あの不思議なグラスがもたらした奇跡なのだろうか?
今なら言えるだろうか?
ずっと胸に抱えていた想いを。
大きく息を吸って、静かに深く吐いた。
彼女の瞳をじっと見つめた。
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