王城にて

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蒼は、ニヤリっと笑うと言った。 「我は普段は、唯の龍の振りをしよう。 小さな龍の振りをすれば、主の様子も見れるから退屈はしまい」 ああ。やはり、退屈は嫌なんだ。 澱み無いねえ。 私は、クスクスと笑うと言った。 「ほんと退屈嫌いだよねえ・・・・蒼ってば」 私の言葉に、蒼は楽しそうに言った。 「人間の世界も面白いものだと、初めて知った。理解に苦しむ思考の持ち主も多く居るものだと知ったぞ。 知らなかった事を、知る事が出来るのは中々だ。 森の奥で、湖を守って生きるのも飽きたのでな。あの場には強い結界を張って主のゴーレムを放って来てる。ほぼ、侵入は不可能だ」 青龍の言葉に、王は目を見開く。 「それは・・・・・・あの、伝説の泉・・・・・の事ですか?」 「む?其方達の伝説など知らぬ。 我は神の指示の元、あの泉を護っていただけだ」 蒼の言葉に、私は思い出した。 ブレスレットの中に有った書物の中の一節を。 「・・・・・神は言われた。 世界の礎は、お前達に掛ると。 青は水を。 赤は火を。 白は風を。 黒は地を。 青は森を駆け抜け泉を護り。 赤は空を駆けて山を護り。 白は谷を駆け抜け空を護り。 黒は地底にて大地を護る。 全ては四つの守護聖獣に託す。 四聖獣は、力を合わせて大地を安寧に導く。 彼の者には何人も手を出してはならない。 手を出して調和を乱せば、世界の安寧は失われる事になる。 世界に生まれし物よ。 調和を乱すな。 世界の破滅が見たくないならば・・・・・・・」
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