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森の入り口はやけに静かで、奥まで光が差し込まないのか、暗闇が無限に広がっていた。
俺は森の中へ続く細い道を先頭を切って歩く。
ルーチェに言われたからというのもあるだろうけど、最後尾も嫌だった。
なので、俺、ルーチェ、シレーヌの順に森にもぐりこんだ。
森の中は聞いたとおり、不気味だった。
「すごい。この森、中が青いのか」
青と言っても、青空のようなではなく、暗く黒の混じった青。
光はまったく差し込まない。伸びきった枝と大きな葉が幾重にもかさなり光を遮っているのだ。
「火をつけます」
ルーチェは枯れ枝をかき集め持つと、火をともした。
真っ直ぐな道が森の奥まで続いている。
森のなかは案外こざっぱりとしている。
それは光のないこの森で草花は育たないからかもしれない。
「言っておくけど、あたしは一度ここに踏み入れたことがあるの。そのときはバグの群れに襲われたけど、一人じゃないからね、今は
負けて帰る訳にはいかない……」
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