第1章・久々の休日

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「あたる」 「…ん?」 「今、幸せ?」 「幸せだよ」 「…俺も…」 そう言うと、お布団のなか 裸のまま、何度も何度も 彼はわたしを抱きしめるんだ。 なんだかくらくらして、わたしは何度か 深呼吸をする。 上手に息すらできない。 彼の強引さがすき。 乱暴なキスがすき。 優しく、時に少しいじわるな 愛撫が好き。 日曜日、早朝からわたしは彼のマンションに 呼び出しを食らっていた。 きっかけは土曜の深夜の一本の電話。 (こんな、深夜に誰だろ…) 「あたる、ごめん寝てた?」 「んーん」 ほぼ寝ぼけながら答える。 「仕事、落ち着いた?」 ふわぁとあくびをしながら、近況を尋ねる。 彼は、とある出版社でサラリーマンで朝も夜もなく 働いている。 一方、私は少し先の喫茶店でバイトをしていた。 彼がお店に来たのが出会いだった。 「うん、間に合った。納品予定までまだ3日あるからまだ余裕あるんだ」 「そっかぁ。良かったねぇ」 「あのさ、あたる」 「うん?」 一瞬の沈黙。 「明日予定ある?」 「特に」 「あいしてる。あたるを抱きたい」 どきっとして一瞬 息が止まりそうになった。
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