第3章・涙

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彼のスース―という息づかい。 眠ってしまったようだ。 わたしを腕に抱いたまま。 ふと思う。 どうしよう、宇宙一の幸せを 今使い果たしているんだとしたら。 耳を澄ませば聞こえる鼓動。 この音を聞いているのは今、世界にわたし一人だけ。 すみ君を思うと恋しい。 時に切ない。 朝が来ると彼は帰ってしまって また、見えない距離との戦いの毎日が始まる。 なんでだろう。 両想いなのに。 彼の思いをこんなに感じているのに。 なんだか訳の分からない種類の涙を流して わたしはその音を聞きながら 眠りに落ちた。 ―END―
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