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「瓦一信と秋野実里の死、施設リーテルの解体に、核爆弾投下か。全く、この国の大統領は面白いことをしてくれる」
どこかの国のどこかの州で、ある二人の男が小さな家にいた。
「カズノブとミノリの死のためか、世界中に掃力が蔓延され、すべての掃力の産みの親である俺は、ついにこの世界の頂点に立つことができた訳か」
両手両足とも、何か機械のようなものでできている大柄な男は、縮れた金髪を手で擦りながら、コーヒーを口にした。
「ああそうだ。Mr.マグネット、あなたはこれで、世界の頂点に立つことができた。全ては我が娘たちの犠牲の元に成り立っている」
黒髪黒目の男は、黒渕眼鏡を指でずりあげると口元に不敵な笑みを浮かべた。
「何、分かっているよ。俺を世界の頂点に立たせる代わりに、お前に最高の幸せを与えろということだろう?」
マグネットはそう言うと、コーヒーのおかわりを注ぎに行く。
「そうだ。一生最高の生活を送れる分の財力と、女を俺にくれ」
黒髪黒目の男は、コーラの入ったグラスを口にすると、ペロリ舌で唇を舐める。
唇に残ったコーラの味を、楽しむかのように。
「いいだろう、お前の約束、今この場で果たしてやろうではないか」
マグネットがそう言ったとき、黒髪黒目の男は何かがおかしいと察知した。
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