139人が本棚に入れています
本棚に追加
7時35分、ついたぞーとラインをとばすと駆け足で背後に近寄る足音がした。振り返ると相変わらず可愛らしい笑顔の後輩がいた。薄茶色に染めた髪、太縁のメガネ、白い肌、線の細い体、いつもニコニコしていて人当たりのいい笑顔、こいつモテそうだよなぁなんて会うたびに思う。悔しい。
「お疲れ様です」
「お疲れー、レポート大丈夫か?」
そういえば去年の後期に一つ単位落としてたみたいだしな。今日もレポートが出てるらしいし、三年生は大変だ。
「さっさと言えば過去レポくらいやるのに」
「貰えるなら欲しいです」
「探しとくよ」
たまには先輩面したいお年頃、とっておいたレポートが役に立つ日がきた。
「さて、何飲みたい?」
「何でもいいですよ」
何でもいいが一番困るってのに。
「そーだなー、お前あんまり飲めないから日本酒とか焼酎じゃないほうがいいか?」
「や、なんでも付き合いますよ?」
嫌なら嫌って言ってくれ。選択肢を狭めたいんだ。どうこう言ってるうちに結局ワインが飲めるとこになった。最近ワインが飲めるようになったとかで。
「意外だなぁ、カクテルとかのが好きなのかと思ってたよ」
「いや、ワイン飲めたらカッコいいかなって」
照れ笑いが様になる男ってズルいと思いませんか。そんな照れ笑い誰がやっても似合うもんじゃない。また悔しい思いをしてしまった。
「どーせ、彼女の前でかっこつけたいだけだろ」
悔しいから意地悪してやる。
「そうなんですよ。でもまだ一回も彼女の前で飲めてないんですけどね」
「もったいねー」
意地悪したのにあっさりのろけられた。先輩ぐれるぞ。
最初のコメントを投稿しよう!