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「もう帰るのめんどいわー、明日授業なんこま?」
「明日全休なんです」
「泊まってっていい?」
「いいっすよ」
もはや眠くて仕方なかった。ここから自宅の4階まで昇るのは非常にだるいので、ありがたい。
「ありがとー」
「じゃ、布団しきますね」
邪魔になら無いように部屋のすみへ避難。布団は家主のもんだからな、すみの座布団でも借りようか。
「ここ借りるなー」
布団を敷き終わった後輩は薄いタオルケットも出してくれた。
「いや、先輩向こうどうぞ」
タオルケットあたしに出したやつじゃなかったのか。
「いいっていいって。邪魔してんのこっちだしさ」
「いやいや、いつも誰かくると俺こっちなんで」
しばらく遠慮合戦は続いた。もはや実力行使しかあるまい。着ていた上着を脱ぎ、時計もネックレスも外しメガネも外して転がった。どうだこれで勝てまい。
「おやすみー」
意気揚々と寝ようとした。が、体が宙に浮いた。
「え、ちょ、おま」
「移動しまーす」
その細腕でお姫様抱っこなんて出来るんですね。
「はい、先輩は布団で寝てください」
ニコッと笑われても。急に飲みに呼び出して家にまで上がってしかも泊めてもらうのに布団奪うとか申し訳なさすぎるんだが。あんまりにも申し訳ないので台所にやつが消えたすきに座布団まで戻っておいた。後輩よ、君はゆっくり布団で寝たまえ。
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