あなたのぶんまで

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 あれから、数年。  毎年、命日の前日に、夏織さんから教えてもらった場所、墓地へとお参りに行く。  約束をしに。 「今年も来たよ。今年は怪我も病気もしなかったんだ。すごいでしょ」  花を差し、線香に火をつける。 「あなたのぶんまで、長生きするよ」  薬指の銀色の指輪は指切りのかわり。  長生きして、幸せになるから、だから。  もう少しだけ、あなたを思って泣くことを、許して欲しい。 終
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