クリスマス、ヤドリギの下

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 大学でのクリスマスパーティー。  そこにあまり似つかわしくない人物を見つけ、おや、と思う。  こういった場にはあまり顔を出したがらない女性が、キョロキョロと何かを探すように、パーティー会場をうろついていた。  普段はボサボサの髪もセンスの悪い服装も、今日はきちんと見栄えのする姿に変わっている。  馬子にも衣装。  胸中で呟いた自分の台詞にクスクスと笑って、近くを通り掛かったギャルソンからカクテルのグラスを二つ受け取り、彼女に近づく。 「祥子チャン」 「! 白井さん」 「誰か探してるの?」  カクテルを押し付ければ、渋々受け取って口をつけた。 「彼氏、です」 「……居たんだ」 「心底意外そうに言わないでくださいよ!」 「ゴメンゴメン」  溜息を漏らす彼女に、微笑みを向ける。 「別々に来たの?」 「どうしても今日中にあげなきゃいけないレポートがあったので」 「ふぅん、どんな男?」  特徴を聞けば、目の端にそれらしき美丈夫を発見した。  けれど教えない。 何故ならそこはヤドリギの下だったから。  そのまま、その男はホールを出て行く。  彼女ではない、他の女性を伴って。  そっと彼女の視界からそれを隠した。 「彼、居ないみたいだからさ、もし良かったら移動しない? 祥子チャン人混み苦手でしょ?」 「そう、ですね」  ホールを見渡して、諦めたように笑む。  いっきにカクテルをあおって、彼女の腕を引いた。  こんな美人を放って、出て行った男が悪い。  このまま彼女を自分のものにしてしまおう。  胸中でそう呟いて、ヤドリギの下を通り抜けた。 終
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