あなたのぶんまで

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 好きな人は、入院中に知り合った、同年代の男の子。  自分の退院が決まっても、その男の子はまだ入院が続くらしく、仲良くなったのだからこのままサヨナラが嫌で、毎日のように病院に通い続けた。  何でも話したし、話して貰った。  知れば知るほど惹かれていって、我慢できずに告白した。  数日待った返事は、『ごめんね』だった。  告白を断られたけれど、病院に行くのはやめなかった。 「まだ好きだもん。嫌われたわけじゃないなら、ずっと来る」 「強いなぁ」 「強くない。ふられた当日は目が開かなくなるくらい泣いた」  ベッドの上で、苦笑。 「こんな駄目男、好きにってくれてありがとね」 「駄目男じゃないもん。いい男だもん」 「そう?」  ありがと、と頭を撫でてくれた。  その一週間後、彼は極楽へと旅立った。
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