【真夏のM字開脚】

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「あ。」 大事なこと忘れてた。 ぽろぽろと涙をこぼすイッカクを見る。 「名前、教えて」 「......一花(イッカ)」 サイコーだ、お前やっぱり。 抱き上げる。 「えっ?ちょっと、サク!?」 「あの校舎を渡るゲーム、始まりは中庭からだろ」 タコの遊具のとき、地面から始めるルートでは攻略出来なかった。 それで、イッカク........ やべ、癖になってる。 おんぶして、遊具の中央から始めたんだ。 イッカが、赤くなってる。 か、可愛いんですけど? 背後で、クラスの奴らのヤジとか罵倒とか変態発言(一名)とか、ござる(一名)がうるさい。 パトカーのサイレンが近づいて来た。 「もう、サクがあの男の子だってわかったから、ゲームはいいよ。 でも........ 『け、検証してもいいよ』」 「お前、それあのエロゲーの!!」 真っ赤になって顔を覆っている。 「だって、サクもあれ好きって言ってたから........」 涙目で。 好きな女の子が 俺のために エロゲーを 見て俺のために 好きなキャラの 決めセリフを 俺のために 落ち着け俺、重力を信じろ。 「知ってた?俺が一番好きな数字は、1なんだよ」 すると、耳に顔を寄せて一花も教えてくれた。 「私は、39が好き。世界でいちばん、 好き」 ドラマならこのままキスしちゃっても良い流れだけど、残念ながら五分後に俺、 『キライ』って言われまして。 例のゲームの『検証』、ケニヒスベルクの橋に似たクイズは、 『七つの性感帯ポイントを同じところを通らずに全て制覇しろ』 というもので、ルートを試す度に声優さんが良い仕事をしてくれるので そっちの検証のほうがしたいだろ、 妄想したって良いじゃないか。 DKだもの。 「一花さん、待ってぇぇぇぇ!」(涙目) パトカー、ヘリがぞくぞくと集まり学生が騒ぐなか、俺の切実な声が呑み込まれていった。 【完】
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