第4章~幽愁暗根~

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『恵秀』を失ったこの頃から俺は、ひとつの感情が大きくなりはじめた。 もう何をやっても意味がない。 今までの自分は全て間違っていた。 全てに対して否定的になった。 今ある現実そのものが無価値に感じはじめており、俺が『恵秀』以外で心の支えになっていた、自分が自信を持って作ってきた 大切であったはずの友達との『絆』 これさえも偽物じゃないかと思えてしまい、 心は確実に闇に蝕まれはじめていた。 自分自身が信じられないのに、人を信じられるはずがないのだ。 そして、その不信感という闇が『絆』という希望が本物であるか偽物なのか試すしかないところまで追い詰めて来る。 そこから逃げる事は出来ない。 『章人』を生け贄にしたくはないから。
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