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背後で、叫び声と笑い声がしている。
とても嫌な予感がしてきた。
「店長、何か企みましたね?」
『初男の卒業祝いをしようと思いましてね』
なにやら含み笑いをしている。
「将志に何かしたら、私はあなたを許さないですよ」
『た、武さん……』
弱々しい将志の声がした。
「将志!? 何があった!!」
『来ないで……』
踵をかえす。
「待ってなさい」
店に戻り、貸切りの看板を睨みつけて入店する。
瞬間、店に明かりがつけられ、歓声とクラッカーが鳴らされた。
「……はあ」
まあ、初めてではない。
卒業生たちは、好んでこういうことをやりたがるから。
しかし、面子はこの店に働くホストたちだ。
将志は、いない。
どうぞこちらへ、と。まるで高砂のような花が飾られたテーブルに案内される。
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