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「じゃあ部屋割りをどうするかなんですけど、店舗部分と居住スペースを分け……なに?」
ぼけーっと将志を見つめていたらしい。
「え、いや……何でも」
「で、大まかに見取り図を描いてみた」
折り畳まれたコピー用紙を広げてくれる。
いい加減な線が引かれた鉛筆書きの図面に、店、俺の部屋、などという落書きみたいな予定が記入されている。
「こういうの……何て言うか知ってる?」
「青写真?」
「いや、取らぬ狸の皮算用」
「……国語教師め」
腹立つ、と言ってふて腐れた。
「田舎で店舗して集客できるわけ?」
「俺の腕で勝負する」
「……言うね、青少年」
久しぶりの軽口は、何とも照れくさい。
ふと、もう卒業したんだから大人として付き合うってことだよな……、と思う。
別に付き合ったら何かしなきゃいけない決まりはないけど。
夜景の綺麗な高層マンションみたいなことが、急に現実味を帯びてきた。
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