479人が本棚に入れています
本棚に追加
「で、和風の割烹旅館みたいにするわけ?」
コピー用紙に無理やり話題を戻す。
「俺は住み込みで働くから、武さんは教師を続けられるよ?」
「……そうだね」
「だから……住みはじめてから、いつでもいいから、俺とのこと……考えて」
初めての恋で何もわからない将志は、どんな姿で、どんな甘い声で私を呼ぶんだろう。
まずい、あまり想像すると自分が危うい。
「……了解しました。ただ、電気とガスだけ開通しておくよ。とりあえず私は先に引っ越すから。あ、通勤用の車を買わないと不便だな」
「あ! 助手席、一番に乗せてほしい!」
「え、乙女ちっく?」
「……悪いかよ」
ふいっ、とそっぽを向いた。
「とりあえず明日にでも本家に電話して、ナギと会わせてもらおうか」
「あ。俺、仕事ある」
「聞いてない!」
「進学決まってから、店長が接客の勉強にってホストさせてくれてる。料理はまだ修行先を探してるけど」
最初のコメントを投稿しよう!