さよならの約束を

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 コンビニに、学生がいたところで不思議はない。  ただそれが教え子で、告白をされた同性であれば導き出される解答は、ただひとつだ。 「……初男くん」 「せ……!?」  ただそれが、予想された反応ではなかっただけの話で。 「まさかの偶然?」 「な、なんで俺がここにいるのわかったんですか!?」 「いま、会ったから」  ぶは、と笑ってくれる。天然ですか、と付け足しながら。 「急にアイスが食べたくなってね」 「甘いもの、好きなんですか」 「うん。いや、いらない情報を出した気がする」  笑顔に変わっていく様子を目の当たりにして、かすかに後悔した。 「知れて嬉しいです」 「……あっそ」 「先生に折り入って相談したいことがあるんですけど」 「すればいいんじゃない?」 「ここで、ですか?」 「コンビニに失礼だろ」 「初男くんって誰ですか」 「……ああ、君の名前知らないから勝手に名付けてみた」 「じゃあいいです、それで」 「うわあ、もっと人間ばなれした名前で呼んでやればよかった!」 「どんな後悔ですか!?」
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