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すると瞬時にこの場にいる全員の視線が俺に注がれた。
警部と呼ばれる中年男は疑い深い眼で睨んでくる。
「貴様、誰だ!?」
「……まぁここまで入れたら充分かな」
俺はフードを取り、素顔を明るみに晒した。
「俺の名前はカエル=ディーズ、探偵としてここにやってきたのさ!!」
俺は爽やかに茶髪を掻き上げながら笑った。
「…………」
(あれ、自己紹介ミスったか!?)
警部は少年を馬鹿にした態度で深い溜め息を吐いた。
「残念だったな、“探偵くん”。これは自殺だ」
「自殺?」
「そう、窓もドアも全て鍵が掛けられてる密室状態、そして首吊りだ。わかっただろう、さぁ帰った帰った!!」
俺は警部の話しを丸々無視し、女の人に話しかけた。
「その自殺したって人のドア、外から鍵掛けられたりする?」
「え、えぇ。でも、鍵は部屋の中にあったし……」
「こら、困りますよぉ。一般人に情報を漏らされては……」
「でも、探偵さんらしいですし……」
俺は警部の前へとずかずかと歩き、そしてやり返しと深い溜め息を吐いた。
「ったく。これだから田舎の警官って無能なんだよなぁ……」
「はぁ!? 貴様、何を言っている!!」
「簡単だよ、水魔法を使えば一瞬」
俺は人指し指を立て、そこから少量の水を警部の顔に向けて放った。
「ぶっ、貴様魔法を使えるのか!?」
警部は眼をぎょっとして驚いている。それもその筈だ、この世界では魔法か溢れている、が使える者は中々少ない。
この平和な御時世、魔法なんてものが無くたって生きていける。それに使うのに厳しい訓練を積まなければならない。
そこまでして使いたいと思わない時代になってきているのだ。
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