至上主義。①

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突然だが俺の好きな人の話をしようと思う。 その人は生徒会の書記なんてものをやっていて、更に剣道部の部長で、背が高くて頭がよくて男らしくて優しくてたまに見せる笑顔が素敵で家族思いで、とりあえず世界でいちばんかっこいい。 俺はあの人のためならなんでもできる気がする。 「瑞浪ー!きーと先輩きたぞー!」 「なに!?!?わかったありがとう!」 ついでに俺の話をしておこう。村田瑞浪、さっき話していた世界で、いや宇宙でいちばんかっこいいきーと先輩の親衛隊隊長を務めさせていただいてる。 先輩に惚れた切っ掛けというのは、勿論この世のものとは思えないほど素晴らしく整った容姿がないといったら嘘になるが、その優しさだ。 瑞浪と書いてみずなと読む。この名前のせいで俺はだいぶ苛められてきた。両親ももっと普通な名前付けてくれればよかったのに……!! いまはもう開き直ってからかってくるやつを言い負かすくらいな精神力を持っているが、中学生の頃はまだ弱かった。 いつものようにからかわれて涙目になってるところに、長期休暇で遊びにきていた先輩が 「お前ら名前で苛めるとかだっせーことやめろよ。わー中学生だっせー!がきー!だっせー!(笑)」 という言葉で助けてくれた。俺はあの日の先輩の実に楽しそうな笑顔を一生忘れない。 かっこわらかっことじ!って叫んでた先輩輝いてました。
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