手紙

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「あんた…金持ちなの?」 身なりは白いコットンシャツにベージュのチノパン。 お洒落でもないし金持ちにも見えない。けどかっこよく見えるのは すらりとした手足と長身のせい? 「あー…うん。金持ちだと思う。」 富裕層の人間は好き勝手やっても金に困ることが無いんだろう。 返事に少しイラッとした。 ****** 「あんた、ガキ?」 アタシを拾った彼…リョウタは、 子どもみたいに丸くなって引っ付いて眠る。 「だって温かいんだもん。」 幼い子供が母親に甘えるみたいに眠る。 くすぐったい気持ちだったけど、 それが心地いいと思うようになるまでには大した時間はかからなかった。リョウタは毎日昼ごろまで眠り、 適当に買って来たものを食べたらぶらりと出かける。 私はどこにも行かずにそのまま部屋にいると、 リョウタは数時間後に、二人分の食べ物を買ってきて、食べたら、 自分の部屋で絵を描き、それが夜中まで続く。 リョウタの絵を描いている後姿を見るのが好きだった。 静かに筆を走らせている腕に浮かぶ筋肉が、男の人の腕だなぁ…って思って、 見る度にドキッとした。 リョウタは私の絵を描いた。 黄色い銀杏の葉っぱの上、鳥の羽が柔らかく敷き詰められ そこに私がリョウタを抱きしめて眠っている時みたいに卵を抱きしめている。
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