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◆1章 無法世界～out law～
壁の外の世界。
人が住まなくなり、魔獣が住まう別世界。
話や映像でしか知らない世界に飛び込んだ緋紫だったが、その足はすぐに止まってしまった。
足に根が生えたかのように立ち尽くしてしまっていた。
なんだこれは？
目に飛び込んできたのは、ひび割れ、切り立ったように隆起し、陥没した道路。
埃が舞い、窓は割れ、メチャクチャに荒らされた飲食店やブティック。
ひっくり返り、ひしゃげた自動車や、破壊されたテーブル。
朽ちて、蔦が生えた高層ビル。
色褪せ、崩壊した無人の街。
弱肉強食を示すように、無造作に転がる小型魔獣の骨や死骸。
淀んだ獣の臭いと、血やら腐敗した臭いが混じる空気が満ちた別世界。
想像していたよりもあるかに壊滅した世界の状況と、壁の中の平穏とした世界とのギャップに衝撃を受けていたのだ。
空気ですらこんなに差があるとはな。
壁の中でいては決して知れなかっただろう世界は、緋紫の心を容赦なく呑み込んでしまう。
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