第1章

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★数学者と少女の小洒落た会話に引き込まれ、気が付けば陰謀渦巻くコンゲームの行方を息を詰めて見守り、そのまま突入するピュタゴラス教団の実動部隊テンプル騎士団とCIA、マフィア入り乱れての銃撃戦クライマックスでは手に汗を握る。 そして伏線が集約するまさかの『マンドラゴラ』の正体…… 驚愕、圧巻、ただただ拍手です ラスベガスのあるネバダ州での核実験痕のセダン・クレーターで発見された通称「unknown」の軍事利用を目論む『CIA』 古代秘教のエンケラドス密儀を継承する『シシリアン・マフィア』 輪廻の真理を隠匿する『ピュタゴラス教団』 と、マンドラゴラを求めて争う三つ巴の勢力の設定も見事としかいいようとありません。 (というか、もしかしてこれ事実ですか? ですが、個人的に引っ掛かった箇所もあります。 尾崎紅葉の「金色夜叉」の名文を、ネオ幾何学の欠けたピースを埋めるヒントとするくだりです 「車は馳せ、景は移り、境は転じ、客は改まれど、貫一は易らざる其の悒鬱を抱きて、遣る方無き五時間の独に倦み憊れつゝ、始て西那須野の駅に下車せり」 人物の心の時間性・流動性を装飾して表すという浄瑠璃などで綴られる道行き文の精神を踏襲した文でありながらも、その韻律が七五調から自由であることをヒントに、ネオ幾何学に時間のゆがみを導入することを思い付くというのはアイデアとしてはとても面白く、作者さまの見識の高さが存分に発揮されたシーンではあると思うのですが、僕のようなあまり理解力があるとはいえない人には? 数学者である主人公が金色夜叉がアメリカの小説を元に構想されているなどと言う薀蓄まで語るのは流石にご都合主義的すぎるような気がします。 もちろんそんなことは瑕にもならない程の完成度トメッセージ性を兼ね備えた作品なのですが、ひとつぐらいは批評っぽいことを書いておきたいという僕のくだらない見栄ですのでご容赦いただけるとありがたいです。★ これが第1レビュー
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