第二章

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 土方が故郷に戻るのは、確か……二回?  隊士募集と、戊辰戦争…… 『ねえ、あたしが消えてからどの位経つの?』  土方があたしの存在を知っているのだから、あの夢の続きなのだろう。  じゃ、今はいつ? 「あれから一度冬を越した。  今は四月。元治二年だが、ついこの間元号が変わった。  今は慶応元年だ」 『やっぱり、続きなんやなぁ、一応。  間、ちょっと飛んでるけど……』  あたしはひとり納得した。  だが、土方は違うことを言った。 「何言ってやがる。  てめえが消えても、俺たちは普通に生きてたぜ。  ここはてめえの夢じゃねえって、」 『何言うてんねん。あたしかて、ちゃんと目覚めてベッドで起きたし、普通に一晩の夢やった』  負けじと言い返す。 「んなこた、どうでもいい。  今、ここは、慶応元年四月の十五日の日野だ」  声に出してそう言い切った。
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