第二章

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 パシッ!  土方は膝を打って立ち上がった。 『どこに行くの?』 「けえるんだよ」  そう言うと、すたすたと歩き出した。  あたしは、先の見えない土方の行動について行くのに必死だ。 『なんか……ちゃう。  総司の時は、あたしは総司とぴったり寄り添えてた。  あたしが考えることと、総司の行動はおんなじで……』 『たりめえだ、  てめえは〈沖田総司〉だったんだからよ。  俺たちは他人だ。  魂ですら、他人だ。  てめえが俺の中にいるってこと自体に、無理がある』 『なんでこんな事になったんやろ?』  あたしは戸惑いを隠せない。 『知るか!  こっちが知りてえ』  土方は不機嫌さを隠すことなく、がつがつと下駄で土を蹴るようにあの鬼足で歩く。  月明かりだけなのに、まるで全てが見通せるかのように、昼間と変わらず、がつがつと歩き続けた。
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