669人が本棚に入れています
本棚に追加
パシッ!
土方は膝を打って立ち上がった。
『どこに行くの?』
「けえるんだよ」
そう言うと、すたすたと歩き出した。
あたしは、先の見えない土方の行動について行くのに必死だ。
『なんか……ちゃう。
総司の時は、あたしは総司とぴったり寄り添えてた。
あたしが考えることと、総司の行動はおんなじで……』
『たりめえだ、
てめえは〈沖田総司〉だったんだからよ。
俺たちは他人だ。
魂ですら、他人だ。
てめえが俺の中にいるってこと自体に、無理がある』
『なんでこんな事になったんやろ?』
あたしは戸惑いを隠せない。
『知るか!
こっちが知りてえ』
土方は不機嫌さを隠すことなく、がつがつと下駄で土を蹴るようにあの鬼足で歩く。
月明かりだけなのに、まるで全てが見通せるかのように、昼間と変わらず、がつがつと歩き続けた。
最初のコメントを投稿しよう!