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◇◇
佐藤家までの道々、留香は黙っていた。
黙っていると、あいつがいることを感じねえ。
俺はずっと前、沖田が言っていたことを思い出していた。
〈土方さんが留香を呼んだんじゃないの?
ずいぶんご執心だ……〉
あれは、沖田と留香が通じ合えなくなった時だった……
留香に俺の最期を知らされた時、俺は、あいつらに言ったんだ。
〈お前たちも一緒に、俺の最期まで連れてってやるよ〉と。
……俺が留香を呼んだのか?沖田から消えた留香を……
――まさかな。
こいつは、沖田だったんだ。
沖田が俺について来りゃあいいことなんだよ。
『あ、また流れた!』
急に留香が叫ぶ。
珍しいのか?
星も見えねえ時代が、いつかは来るってことなんだよなぁ。
――どんなに便利になってもいいがよ、この空くれぇは、守っていけねえもんかねえ……
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