第二章

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「トシさん、気色わりいよぉ。  あんた、京へ上ったからって、気取るのはおよしよ!」 「るせー、あねさんこそ、なんでぃ。こんな時間に」 「年取るとね、眠りが浅くってね……」  そう言って土方の手から柄杓を奪い、土方に燭台を持たせて水を飲んだ。 「ふうーーー、  ……ねえ、頼むから源之助を京に連れて行くのは止めておくれよ。  心配でね、それこそ夜も眠れやしない」  土方が、視線を逸らせた。 「あいつはよう、中々役に立つんだ。  銃も使える、おまけに頭がいい。  それに目がいいんだ。仕事を一度見ただけで、自分の物にできる。  要領がいいんだよな。いい意味で」 「どんなに褒めても駄目よ。  そんだけあの子が秀でてんなら、なおさらね。  あの子にはこの家と村を守ってもらわなきゃならないのよ。  言いたかないけどね、命を粗末にさせたくはないからね……  トシさん、あんた、二年も京にいたんなら、あたしの言いたいこと、わかるでしょう?」
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