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「だってよぅ、おめえんとこは、帯刀を許された身分だぜ。
今だって、鉄砲やってるのも、村を守るためだろう?
そのうち、俺らが京を守っているように、おめえらも『この村を守れ』と御上から沙汰が来るかもしれねえ。
その為にも、おめえはやっぱりよ、あねさんの言うように、ここに残らなきゃならねえってことさ」
少年はしばらく土方の目を見つめていた。
「そうだね、それが俺の、跡取りとしての役目なんだろうね
ちょいとね、羨ましかったんだよ。
京で活躍してる叔父さんたちがさ……」
土方は、かわいい甥っ子の頭をこつんと、小突いた。
「おめえらが、江戸で隊士を集めてくれたおかげで、新選組はまたでかくなるぜ」
「うん!」
パチン、と兼定を鞘に収め、腰に差した。
障子を大きく開けた。
――さあっと、初夏の風が入る。
蒼い草の匂いがした。
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