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「昼は(募集で)日野に集まった奴らに会う。
それまでは、空いてるからよ、どうだ、少し手合せするか?」
土方が源之助を稽古に誘った。
「はい!!」
源之助は破顔し、廊下に飛び出した。
「父上! トシさんが手合せしてくれるってさ!」
庭で下男と話をしていた彦五郎に大声で声をかけ、そのまま走り去った。
この家の主、彦五郎は土方の傍に来て、縁側に腰を下ろした。
「トシ、すまねえなあ、おとくがよぅ……」
「いいさ、あねさんの言うこともわからんでもねえ」
おのぶは、土方の実の姉である。
彼女が嫁いだ佐藤家は、ここ日野本郷三千石を管理する名主(なぬし)だ。
土方の言うことには、〈おとくさん〉だが。
今はまだ、名をノブに改めていないようだ。(有名なのは、ノブの方だから……)
あたしには、嫡男源之助を京にやりたくない彼女の気持ちが、よくわかる。
――跡取り息子を、あの荒れた京にやるなんて……
「清川の話を聞いた時はよう、おまいさんじゃなく、俺が京に上がりたかったくれえだもんな
ハハハハハ」
彦五郎はそう言って、子供の様な笑顔を見せた。
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