第三章

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 あたしの中では、おのぶの夫だとか土方が慕った義兄だという認識しかなかった。  だが、実際の人物を前にすると、非常に心惹かれる男なのだ。 『この人が、新選組を影で支えてたんや』 『ああ、そうさ。  彦五郎さんのおかげで、俺たちはここまで来れた。』  土方の中にある、彦五郎に対する尊敬の念を、あたしも一緒に感じていた。  色の黒い精悍な顔つきは、一見穏やかで役者の様に見える土方とは対照的だ。  背も高い。土方よりも高い。  多分、近藤さんくらいはあるんじゃないかしら……  この時代、男子の身長はあたしと同じくらい……つまり百六十センチくらい、いや、それより小さい人の方が多い。  そういえば新選組の面々は、ほとんどが百六十五センチ以上あったと思う。  皆、立派な体躯なのだ。  総司や斎藤が、百六十六、七かな……  土方はそれよりまだもう少し大きい。  近藤は、もっと大きい。多分百七十はあったと思う。
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