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佐藤家の長屋門は立派な道場になっている。
美しく磨かれた板張りに正座し、真紅の胴を着ける。
彦五郎が土方の為に用意しておいてくれたものだ。
近藤さんや総司らも、この日野宿に来て、彦五郎さん達と稽古をしていたという。
色んな人々が、ここに集ったのだ。
あたしは不思議な気持ちで、正面の書や名前の書かれた額を眺める。
源之助は土方に何度跳ね返されても、食らいついてきた。
可愛い顔に似合わず、根性がある。
土方には、それが嬉しい。
それでも、ひと通り稽古をこなすと、源之助の息が上がって来た。
「よし、これまでだ」
土方から声をかけた。
そうでもしないと、この子はぶっ倒れるまで続けるつもりだ。
「ハァ、ハァ、、ハァ、ありが、とう、、ござ、、」
言葉にならない。
土方は苦笑いして、面の上から頭を小突いた。
「上手くなったな」
源之助は、歯を見せて微笑った。
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