第二章

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 見上げる空は、満天の星空。  月明かりは空の黒さを、碧く照らす。  当たり前のこの空を、あの女は美しいと感激していた……  何故かそんな事を思い出した。  その瞬間だった。 「んがっっ!!」  首の辺りへの何とも言えない衝撃と共に、あの女が堕ちて来た!!  そうだ!堕ちてきやがったんだ! 「いてえ! 何しやがるっ!」  俺は空(くう)に向かって吠えた。 『ひ、土方あぁ?』  また、呼び捨てだ。  どこまでこの女は、無礼なんだ! 「留香か?  何処にいる?出て来やがれ!」  俺は立ち上がり、周りを見渡した。  ――いるわけねえな……そうだ、あの女は、沖田の中にいたのだからな。じゃあ、どこにいる?   確かに声を聴いた……  いや、存在を感じた。 『ここは、どこや?  京と、ちゃうの?』  ――まさか……  俺の頭ん中で、声がする?!
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