【第18話】足りなかったものは

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  その思いをそのまま、羽村に投げる。 「なー、今日行っていい?」 「無理」 が、返ってきたのは拒否。 しかも、即答だ。 思わずくすくす笑ってしまう。 拒否されたのに可笑しく思うのは、羽村の表情に一切変化がなかったからかもしれない。 画面に映し出されるデザインを見ながら、何となく納得もしていたからだ。 俺への返事をしながらも、忙しなく動き回る羽村の手。 羽村のこの頑さの理由……つまり立て込んでいる仕事を理解している身としては、そうやすやすと彼女が俺の誘いに乗るはずがない、ということもわかっていたからかもしれない。 キーを弾く音が荒々しい。 何となく、イライラしてるようにも見える。 大変だよなー、お互い。 なんてことを思っていたら、羽村が妙に低い声で、こう言った。 .
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