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その思いをそのまま、羽村に投げる。
「なー、今日行っていい?」
「無理」
が、返ってきたのは拒否。
しかも、即答だ。
思わずくすくす笑ってしまう。
拒否されたのに可笑しく思うのは、羽村の表情に一切変化がなかったからかもしれない。
画面に映し出されるデザインを見ながら、何となく納得もしていたからだ。
俺への返事をしながらも、忙しなく動き回る羽村の手。
羽村のこの頑さの理由……つまり立て込んでいる仕事を理解している身としては、そうやすやすと彼女が俺の誘いに乗るはずがない、ということもわかっていたからかもしれない。
キーを弾く音が荒々しい。
何となく、イライラしてるようにも見える。
大変だよなー、お互い。
なんてことを思っていたら、羽村が妙に低い声で、こう言った。
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