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珍しく、思いが素直に声になったことに内心驚きながらも、目の前にある羽村の肌、その首筋に、誘われるように指を伸ばす。
なめらかな感触に、頬が緩み始めたその瞬間……鈍く重い音がして、俺の手は振り払われた。
「触んないで」
「……あ?」
実質的な痛みよりも胸に響いたのは、羽村の言葉と態度だった。
思いきり俺の手を振り払った彼女は、目を逸らし、『拒絶』を体全体で表現していた。
初めてだった。
こんなにも、胸が痛むのは。
嫌だとか、やめてとか、今までだってさんざん言われてきた。
それを無理矢理ねじ伏せたのは、俺だ。
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