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でも、今のはそうじゃない。
全然別物だ。だって。
羽村は、本気で、俺を拒絶した。
俺のやることに嫌そうな顔をしながらも、羽村はいつも、どこかで俺を許してくれていた。
傍若無人に見える振る舞いにも、無茶な要求にも、そして強引な情事にも……いつもどこか甘えさせてくれていた。
なのに、今。
羽村は俺を、突き放した。
目には軽蔑に近い何かが浮かび、噛み締めた唇にも色はなく、俺の手を全力で、振り払った。
信じられない気持ちと共に、泣きそうに狂おしい感情のうねりが、俺の全身を駆け巡る。
何も言えずに、ただ、立ち尽くすだけだ。
……羽村が……、愛しい彼女が、とても、遠い。
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