【第18話】足りなかったものは

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  言葉を失った俺に、羽村は苛立たちを抑えるように続ける。 「長瀬には御園さんがいるじゃない」 一瞬、何を言われているのかわからなかった。 どうしてこの場で、その名前が出るのかさえ、理解できない。 「……は? 御園?」 「隠さなくていいよ。知ってるから」 思考をすっ飛ばした呟きに、羽村はふん、と息を吐いた。 再びMacへと向き直った彼女からは、俺に対しての拒絶しか感じられない。 しかし、『御園さん』と言ったときの羽村は……燻る火種を抱えているようにも見えた。 「……ああ、なんだ」 思わず、笑ってしまう。 羽村の肩がぴくりと揺れたのを見て、俺はまた彼女に近付いた。 .
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