【第18話】足りなかったものは

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  途端、弾かれたように立ち上がった羽村。 「っ、違う!」 叫んだと同時に椅子が動く。 それは勢いを殺せないまま、俺の背後にあったゴミ箱へと激突した。 がしゃん、と大きな音をたてた後……再びオフィスには静寂が戻ってくる。 噛み殺しきれない笑みを、羽村はどう受け取ったんだろう。 彼女は今にも噛み付いてきそうな勢いで、俺を睨みつけるばかりだ。 ぎり、と唇を噛んだ羽村が、しびれを切らして叫ぶ。 「何なの、一体! 何が言いたいわけ!?」 「……べっつにー?」 嫉妬してんだろ? なんて、言ったって。 その様子じゃ、お前は認めてくれないんだろ? だったらいーよ。 俺が勝手に、密かに喜んでしまっただけのことだって、諦めるから。 .
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