【第18話】足りなかったものは

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  「……言いたいことなんてない!」 俺の言葉に、羽村はそう切り出した。 きりきりと痛むような、高い声が耳を切り裂いていくかのようだった。 「だいたい、どうして私がヤキモチなんて妬かなきゃなんないわけ!? 長瀬が誰と何しようが、私には関係ない! 勝手に決めつけて踏み込んで来ないでよ!」 はあ、はあ、と。 息を切らしながら叫ぶ羽村。 目を逸らしたまま言い捨てた彼女の声は、震えていた。 それは、怒りによるものか。 それとも、別の何かによるものなのか。 俺には判別できなかった。 激高している羽村なんて、初めて見た。 彼女がこんなに感情のまま叫ぶ姿なんて、想像もできなかったくらいだ。 .
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