【第18話】足りなかったものは

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  ふと、歩みを止めて振り返った。 逃げるように出てきたオフィスのビルを見上げる。 まだ電気がついているのはうちのオフィスだけだ。 あの光の中にいる、羽村は何を思っているだろう。 冷たい夜風が頬を刺す。 二人で見上げた夜空に見つけた星は、厚い雲に覆われて、欠片も見つけられなかった。 俺は……少しだけ、絶望って言葉の意味を、理解し始めていた。 羽村を失う……そんな未来が、微かに頭に映し出されるからだ。 ただ、いつものように、話したかった。 飲みたかった。触れたかった。それだけだったのに。 一体、どこで間違えたんだろう? .
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