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だが、怯んでもいられない。
俺はいつも通りを心がけながら、軽い口調で尋ねた。
「腹減らねーか?」
「別に」
即座に返ってきたのは、愛想を殺ぎ落とした返事。
……会話続ける気、ナシってか?
一体何がそんなに羽村を不機嫌にさせているのかわからない。
忙しいからか? それとも他に理由があるのか?
そんなに眉間にシワ寄せて、睨みつけるように画面見なきゃなんねー程に、難航してんのか?
いつもとは違う羽村の態度に疑問を抱きながらも俺は話を振った。
「あれ、もーメシ食ったとか?」
「うん」
「何食ったんだよ」
「おにぎり。コンビニの」
「俺のは?」
「あるわけないでしょ」
ポンポンとリズム良く短い言葉をやりとりしていくうちに、少しずつ、羽村の声から堅さが抜けていく。
内心ホッとしながら、俺は大きく伸びをした。
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