【第18話】足りなかったものは

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  「あー、もう、終わりにしよっかなー、今日は」 「そーしたら? お疲れさまー」 「お前は? まだかかんの?」 「んー、もうちょっと」 「ふーん」 キィ、と椅子が軋む音がオフィスに響く。 体を起こし、俺は画面とのにらめっこをやめない羽村に誘いをかける。 「もー終わりにして、帰らねー?」 「どーぞ、先に帰って大丈夫よ。私、鍵締めとくし」 羽村の答えに思わず溜息がこぼれた。 「……そーゆーことじゃなくて、だな」 鍵の心配なんかしてねーよ。馬鹿。 普通わかるだろ。一緒に帰ろーぜって、誘ってんだよ。馬鹿。 椅子ごと羽村に向き直った俺は、じいっと彼女を見つめた。 .
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