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「あー、もう、終わりにしよっかなー、今日は」
「そーしたら? お疲れさまー」
「お前は? まだかかんの?」
「んー、もうちょっと」
「ふーん」
キィ、と椅子が軋む音がオフィスに響く。
体を起こし、俺は画面とのにらめっこをやめない羽村に誘いをかける。
「もー終わりにして、帰らねー?」
「どーぞ、先に帰って大丈夫よ。私、鍵締めとくし」
羽村の答えに思わず溜息がこぼれた。
「……そーゆーことじゃなくて、だな」
鍵の心配なんかしてねーよ。馬鹿。
普通わかるだろ。一緒に帰ろーぜって、誘ってんだよ。馬鹿。
椅子ごと羽村に向き直った俺は、じいっと彼女を見つめた。
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