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「え?亜里紗が!?」
『そー!勝手に家に上がりこんでさ、魅羽が帰ってくるまで待つとか言ってんだよ?
今ウチのオフクロがお茶出してるけど・・・慧今もしかして一緒にいんの?』
「うん一緒。友達と飲んでた帰りに俺が迎えに行ったんだけど、酔ってて今車で休んでる・・・
もうちょっとしたら送ろうと思ってたんだけど、まずいな・・・それ」
『あー・・・ありゃなかなか帰りそうにないぜ?・・・情報屋シメたはずだったのに、ここの住所結局知ってるし?』
「男友達多いから情報屋は1人じゃないとは思ってたよ」
会社じゃなくて魅羽ちゃんの家に行っているとは・・・
明日も仕事のはずだから終電の時間までには帰るとは思うけど、バッティングする可能性もある。
『まあとにかく今日はこっち来るなよ?魅羽はおまえに任せるから』
「えっ・・・それどういう・・・」
『ちゃんと話した方がいいぜ?・・・あいつ何でも我慢するクセがあるし、不安も顔に出さないからな?』
プツッ
携帯の通話が切れて「はー・・・しょうがない、か」と困惑気味に慧は呟き、目の前の自販機でカフェオレを購入した。
問題は俺がいつまで我慢できるか・・・なんだけど?
― 大野さん遅いな・・・?
どこ・・・行ったんだろ?
助手席に座ったまま後ろを振り返ると駐車場の入り口そばの自販機の前に慧が立っているのが見えた。
電話中なのか携帯のLEDライトが点滅しているのが遠くからでもわかる。
あ・・・頭また痛くなった。
気分が悪いのに顔だけ後ろ向きにしたせいで頭痛が再び魅羽をおそう。
魅羽は目を閉じて痛みが通り過ぎて行くのを静かに待っていた。
ちょっと休めば大丈夫・・・
「魅羽ちゃん、大丈夫?」
いつの間に車に戻ってたの・・・?
気が付くと隣に慧がいて心配そうに魅羽の顔を覗き込んでいた。
もしかして寝ちゃってたかな?私。
「うん。少し休んだし楽になったかも」
「良かった。どっちか飲む?」
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