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4
「・・・着いたよ」
「うん・・・って、あ・・・あれっ?」
車から降りると見覚えのある風景に魅羽は一瞬足が止まる。
見上げると・・・日曜日に訪れたばかりの慧のマンションがそこにはあった。
・・・え・・・?送ってくれるって言ってたよね?
まだフラフラする足元を気にしながら魅羽は慧を見つめた。
慧はバツが悪いのか魅羽の両腕を後ろから支えて転ばないように立たせると、右腕を魅羽の背中にまわし、申し訳なさそうに言う。
「・・・さっき霖に電話したら亜里紗が来てるらしくって・・・その・・・魅羽ちゃんは今日は俺に任せるって・・・」
「言われたんだけど」と続く慧のセリフは魅羽の声で遮られた。
「え、ええ――――――っ!?」
「今日は」って!!
大野さんに任せるって・・・!?
「『魅羽ちゃんが帰ってくるまで待つ』とか言ってるらしいんだ。
霖も会わせない方がいいと思ってるみたいで『家に来るな』って・・・」
・・・ということは私・・・
大野さんの家に泊まるって事!?
うそっ
だ・・・駄目でしょそんな事!!
私達はただの友達。フレンドなんだってば!
いくら私が好意を寄せていても
大野さんには彼女がいるんだよ?
彼女のいる男のマンションに『泊っていいぞ』なんて言う兄
どこの世界にいるのっっ?
魅羽は困惑して慧の方を見ると、慧も困惑している様子だった。
「ごめん・・・嫌だと思うけど今日だけ我慢してくれる?
・・・今の状態の魅羽ちゃんに亜里紗を会わせたくない。
魅羽ちゃんの身体が心配だし、今日は疲れさせたくないんだ・・・」
そっか・・・
昨日亜里紗さんがウチの会社に来た事、マナから聴いたんだ。
だから・・・迎えに来てくれたの?
話したいことあるって言ってたのに私がこんなだから
介抱するしかなくって・・・ごめんね?
エレベーターで11階まで上がると、慧は自分の家に魅羽を招き入れた。
わ・・・
今日も綺麗に片付いてるなあ。
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