第7話 忘却と放置

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 モデルルームのようなリビングに通されると、魅羽はきょろきょろと部屋を見回す。  魅羽がカフェオレを溢したラグマットは綺麗に洗濯されて元通りになっていた。  「俺先にシャワー浴びるからくつろいでて」  慧は部屋の電気を点けながらキッチンの奥のバスルームへ入って行った。  「あ、うん・・・」  ― そういえば・・・  この前は昼間来たから気が付かなかったけど、この部屋って間接照明なんだ?  キッチンの照明は天井にあって比較的明るいが、魅羽が座っているソファのあたりはテレビの足元から照らされているオレンジ色の照明だけだ。  やわらかい照明のせいか、気分は落ち着くけど・・・   ほどよく暗くって眠たくなるんだけど?  やばい・・・  また寝ちゃったら・・・  ここ大野さんの家だしっ  座り心地のいいソファにいるとこのまま寝てしまいそうで、魅羽はカウンターの椅子へ移動しようと立ち上がると、ちょうど慧がバスルームから出てきた。  「魅羽ちゃんもシャワー浴びてくる?」  「入るっ!」  頭スッキリさせないと何も考えられないもん。  ・・・そういえば私  ここでシャワー借りるの二回目だな・・・  こんなことしてて大丈夫なのかな?  普通の男の人なら私この後・・・  魅羽は想像して顔を赤らめた。  ・・・イヤイヤ、今日はそういうのはないはず  大野さんはそういうことは  しない・・・はず・・・  しない・・・かな?  少し疑念を感じつつも、今日はここに泊めてもらうしかないし・・・と自分に言い聞かせた。  シャワーを浴びた後慧が用意してくれた大きめのTシャツを着る。  これ長ーい!おしりも隠れるじゃん。  泊まる準備なんかしてないから下着の替えないし・・・  サッパリしたのに同じ下着ってやっぱり気持ち悪い・・・  魅羽は少し考えた後、ショーツとブラを脱いで軽く手洗いした。  そしてタオルで見えないように隠して、この間慧がしてくれたように浴室に干した。  後で浴室入らないでって言っとかなきゃ。
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