1.ビューティークール探偵稲葉

10/10
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/48ページ
「あたしは、これでもまだ二十代よ・・・。まだまだ若いと思っていたのに・・・。モスキート音が聞こえないなんて・・・」  自分で言葉を口にしていると、どんどん虚しくなる。そして、哀しくなる。全員が同じ気持ちだった。  さらに、追い打ちをかけるように。 「歳をとっていけば、余計なことは忘れてしまうのだ。やっぱり、覚えておく必要はないのだ。鐘の音の一群が飛びたち時とともに去っていくのが人生なのだ」  夏慈のどこまでのネガティブな言葉が、全員のトドメとなった。
/48ページ

最初のコメントを投稿しよう!