4.LOST

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 この世界は【傲慢】によって滅ぼされてしまうのか。いや、そうはならない。ゆっくりと落ちる瓦礫。確かに動きは遅いが、それはパーティスが設定した速度より遥かに遅くなっていた。 (・・・どういうことだ?何故、動きが・・・。これは・・・)  パーティスは自分の身体の異変に気付いた。投げたモノだけでない、自分自身の体も動きが遅くなっていた。指先一つ動かすのに、何十分も掛かっている感覚に陥っていた。 (まさか・・・!)  直後、稲葉と八重に落ちてきた時計塔の瓦礫は斬られた。細かく当たっても害がないほどに。  彼らは目を見張った。特にパーティスはグラスより与えられた力、それを易々と打ち破ることができる存在がトコリコ以外にいる。 「お前・・・まだ生きていたのか・・・!」  左腕に逆さ十字傷を持つ青年は右手に透明な刀を手にしていた。彼の目はパーティスを睨み付ける。全てを憎む、【憎悪】に満ちた目で。
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