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それから数日後―…
【ソレ】は次々と要求をしてきた。
両手、両耳、両目―…と
私はその度に言った。
「いいよ、こんなもので良ければ」
手は使えなくてもなんとかなる。
耳は聞こえなくても、【ソレ】等の声は聞こえた。
頭に直接響いてくるからだ。
口は言葉を発さなくても大丈夫。
思い描くだけで察してくれる。
無くなったところで今の私に何の不自由も、無い
こうして私は五感全てを【ソレ】に譲り渡した。
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