8人が本棚に入れています
本棚に追加
「同情とか、しないんだな」
僕がいじめられていることを、知っても特に怒った様子もない東雲、
「同情? なんじゃ慰めてほしかったのか? もう大丈夫じゃとでも言うてくれるとでも思っておったのか?」
「いや、思ってないよ。同情されても逆に惨めになるだけだしさ、そんなことよりも頼みがあるんだよ。東雲」
むしろ、こうして適度な距離をとってくれたほうがいい。東雲に向かって頼み事をする。東雲は一瞬、驚いた表情した後、ニヤリと笑い頷いた。
「…………」
東雲梓とは、チャンネルが合わなければ目で見ることはできない、放課後だからって僕にも彼女がどこにいるのか目視はできない、ただ、彼女がこの教室で暴れていることは確かだ。クラスメート達を教室に閉じ込めて、怪異現象に引っ張り込んでほしいというのが僕の頼み事だった。きっと僕を糾弾するために話し合いの場が開かれるだろうことは容易に予想ができた。共犯者共が一カ所に集まる瞬間を逃さない。もしかしたら、この中には何も知らずに巻き込まれた奴もいるかもしれないけれど、そんなに気にかけるつもりはない、なぜなら、ここで、今日でこのクラスは崩壊するのだから、僕は鞄に隠したある物を取り出す。
布で巻いた部分を取り外し、その刃を晒す。パニック状態に陥ったクラスメートは気がつかない、接着剤で貼り付けた扉をどうにかこじ開けようとするリーダーの男、無防備に背中を向けた男の背後に近寄る、気付かれる前に僕は包丁の切っ先をその背中に突き刺した、片手で取っ手を握り、包丁の尻の部分をもう片方の手で押し込む、学生服が血に染まる。
リーダーの男の表情が苦痛に歪み、こちらを向く、悲鳴が聞こえたが、そんなのは関係ない、振り返る男の鼻っ柱に引き抜いた包丁を突き立てた、力では押し負けることはわかりきっている。だから、速攻でケリをつける。別にこのクラスメート全員を殺したいわけじゃない、鼻っ柱に突き立てた包丁をゴリゴリと抉り男の悲鳴が鳴り響く。うるせぇ、傷口に片手を突っ込んで傷口の肉を引っ張った血がブシャブシャと勢いよく吹き出し、足を蹴って転ばせると僕は男の顔面を蹴り飛ばした。男の身体がひくひくと痙攣を始めた頃、男の取り巻き達が襲ってきたでも、もういい、どうせ遅い、僕は血塗れになった包丁を両手で握り天高く持ち上げると僕の喉に突き立てた。首の血管が切れて血が吹き出した。痛みはなかった。
最初のコメントを投稿しよう!