転生&転性でございます。

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突如現れた、驚異的な魔力。 それに対して沸いて出た感情は、圧倒的な恐怖。 気付けば俺は、その場から逃げるように走り出し、森の外の草原に膝をついていた。 「………っぜっ……げほっ!……はぁ……はァ……」 無意識に息を止めていたようだ。急に酸素が入ってきて、咳き込んだ。 ………だいぶ落ち着いた。しかし、 「なんだ、今のは。」 異常な量の魔力反応。エターナルドラゴンなど比べ物にならないほどの。 確実に俺以上の魔力量だ。下手をすると、親父以上。 いや、下手をしなくても親父以上だな、あれは。 身体中が危険信号を発していた。現に今も、心臓が喚き叫んでいる。 足が震えて、動かない。 「あの糞親父。エターナルドラゴンなんかよりヤバイのいるじゃねぇか」 どれほどの時間、地面に膝をついていたのだろうか。 ようやく足の震えも止まり、心臓も落ち着きを取り戻した。 「だぁー……くそったれ、情けねえ。」 そう、ぼやく。って、違う。ぼやいてる場合じゃない。 「エターナルドラゴンの討伐と、王女の護衛。やべえな、まだ生きてっかな、王女。」 いや、死んでたらヤバイでは済まないのだが。 「もっかい魔力探知だな。で、身体強化かけて。」 再び無詠唱で魔力探知を行う。 …………やばい。これはやばい。 「王女とエターナルドラゴンと、さっきのが同じ場所にいるな。ええい!!笑えねえぞ!!!」 今度ばかりは足が震えて動けない、なんてことはあってはならない。 焦る気持ちを抑えながら、全力で魔力反応があった場所へ向かった。 森の木々の上を飛び回りながら、向かう。よし、だいぶ近くなってきたな。魔力反応もまだ消えていない。 道が開けた場所が見える。騎士達の姿も見えた。 「良かった、間に合っ「おおぉラあッッッ!!!!」」 「良かった、間に合った!」そう言おうとした俺の言葉は、叫び声と、 すぐ横を飛んで行った何かに遮られた。 いやいやいやまてまて、なにが起きた? 騎士達の方に顔を向けると、絶句した表情で、ドラゴンの首の上を見ていた。
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